眠らない街

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眠らない街

蘭のお店は賑やかになり お客さんの使う額も どんどんと高額になっていった。 言うて私はもう40代。 どんなにデリヘルで身体を張っても 稼ぐ額は限られていた。 その頃の私は 蘭を応援してあげたいと言うよりは エースとしての意地でしかなかった。 毎月ギリ限界以上使っていた私にも ついに本当の限界がきた。 「蘭ちゃん。私、出稼ぎに行こうと思うの。」 初めて蘭にそう話したが 蘭はあまり良い顔はしなかった。 2週間。 そう決めて私はあの有名な 【吉原】へと旅立った。 初めての出稼ぎ。 吉原は寮がない為ホテル住まいとなった。 私の年齢が年齢の為 大衆店で安い単価を回転で稼ぐ事となり お風呂やベッドのセッティングから 終わってからの清掃まで 全て自分でやらなくてはならなかった。 出勤は朝の10時から閉店の24時まで。 朝はコンビニでご飯を買い 接客と接客の合間おにぎりを片手に 事を終えた部屋の清掃をした。 仕事が終わると、またコンビニへ寄り お酒とツマミを買ってホテルへ戻り お酒を片手にコインランドリーへ そんな日が2週間続いた。 出稼ぎ最終日も近づいたある日。 SNSで繋がっていた女の子から 声がかかった。 「地元に帰る日一緒に飲まない?居酒屋で話してからさ!新幹線の時間まで歌舞伎町行かない?枝で!」 私はどうせ遠くへ来たなら 初回くらいは行ってみたいな! と思い、OKしてしまった。 最終日は早めにお仕事を終え 友達との待ち合わせ場所まで電車で向かい 居酒屋で女子トークを楽しんだ後 友達が通っている ホストクラブへと向かった。 「すごっ!!!!!」 敷居が高すぎて私には無理だと思った。 アンティーク調の高級感溢れる店内 高レベルなホストの顔面偏差値…。 私の居場所ではないと思った。 接客はとても楽しかった。 蘭に良いお土産話が出来たなと思った。 新幹線の時間まで初回を楽しみ 複数のホストと連絡先を交換し 最終の新幹線で地元へ帰った。 駅につくと 両手を広げた蘭がお出迎えしてくれた。 「おかえりー!!!!!」 「ただいまー!!!!!」 何も考えず抱きついてしまった。 キャリーケースを片手に 蘭の店へ向かい この2週間の話や歌舞伎町の話を 興奮しながら話して 初めての出稼ぎは終わった。 この日初めて 【吉原ラメント】で泣いた(笑)
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