殺伐とした街(番外編)

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殺伐とした街(番外編)

【吉原】 初めて行った街は とても殺伐としていた。 働いている女の子達は 当たり前のように普通に街を歩き 観光客は写真を撮っている。 私は最初こそ 恥ずかしい気持ちで歩いていたが 数日もすると慣れていた。 どのお店も建物は古く 私がお世話になったお店は 特にとても古い建物だった。 お客さんとバッティングしないように お店の人に案内されお店へ入り 急な階段で4階まで上がる。 荷物を置く部屋で着替えを済ませると 売れっ子以外の女の子は集団待機となる。 売れっ子の女の子は きちんと部屋をわけ与えてもらえるのだ。 テーブルもない 壁に沿って椅子だけがある待機室で 携帯をいじったり寝たり 仲の良い古くからのお姉さん達は 真ん中を陣取って 大きな声で喋っていたり… そんな中電話がなり 女の子が呼び出され お客さんが来た事と部屋は何番など フロントから伝えられ お部屋へ行き準備をする。 狭い部屋で何人も相手をしていると 自分がこの世界に 閉じ込められてしまったような そんな気持ちになった。 お金のためとはいえ 好きでもない人と事を済ます。 何度も部屋で泣いた。 色んな部屋から 笑い声や事を済ましている声が聞こえても 人は人。自分は自分。 そんな独特な雰囲気が私は苦手だった。
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