ひとりぼっちの街

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ひとりぼっちの街

16時に起こすと彼は私に言った。 「鍵ひとつなくしちゃってさ。仕事終わってから俺のお店に鍵を取りに来てよ。」 彼の家はディンプルキーで 合鍵を作るのに数週間かかる。 結局、私は毎日 仕事終わりに歌舞伎町へ行かなくては ならなくなった。 やられた。と思ったが お店に入らなければいい。 しかし、彼もホストだ。 なんだかんだ理由をつけてはお店に呼んだ。 最初は約束通り指名をつけた。 次の日からは 初回がいて卓から抜けたいから。 ○○のお祝いでちょっとかっこつけたい。 代表がきていて卓を作って欲しい。 などなど。 結局毎日彼のお店に通っていた。 そしてワンルームだった彼の部屋 ベッドは彼がソファーは私。 まだまだ肌寒い春だったのだが 彼は暖かい掛け布団 私は薄いタオルケット一枚で 寒さに耐えながら寝ていた。 来なきゃ良かった。と思っていた。 そんな時、SNSで仲良くなった 別の女の子に飲みに誘われた。 私は歌舞伎町に友達がいなかったので 喜んで誘いに乗った。 そして今の状況などを話し 愚痴を聞いてくれスッキリした。 その後 その子が通うお店へ連れていかれた。 【枝】である。。。 そして初回。 沢山のホストが名刺を持ってまわった。 正直もう担当はいらないと思っていたが 枝を振ってくれた女の子の顔を立てる というのが歌舞伎町では 当たり前のようだった。 私は一番タイプだった男の子を 飲み直しで指名すると 友達の担当が 「初回ならシャンパン半額だよ!入れてあげたら?」 と言ってきたのだ。 きっと歌舞伎町でのシャンコなんて 後にも先にも見れないだろうなと 思っていた私は 半額ならと入れる事にしてしまった。 シャンコが始まると 指名したホストは私の隣へ座り 「ありがとう!!!」 とニコニコして喜んでくれた。 歌舞伎町にまた担当が増えた。。。 2週間の出稼ぎのはずが お金は全く貯まらず その日稼いだお金で 毎日のように歌舞伎町に通い いつの間にか歌舞伎町に居る事が 当たり前になってしまっていた。 そして出稼ぎも終わる二日前。 寒さの中寝ていた私は39度の熱を出した。 布団で寝ていたホストに 寒いしんどいと伝えると その日だけ ベッドで寝てもいいよと言われた。 新宿の病院へ行くか聞かれたが 次の日も熱が下がらす 不安になった私は 早めに地元へ帰ることにした。 するとそのホストは 「1日○○円で2週間だから○○円置いてってね。宿泊代。」 と、宿泊代を請求された。 財布の中から諭吉がいなくなった。 新幹線代が無くなった私は 高熱の中 高速バスで地元へ帰りその足で病院へ…。 扁桃炎でそのまま入院となった。
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