クリスタル

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クリスタル

締め日の当日。 夕方くらいだろうか…。 蘭から電話が来た。 「蓮に負けるかもしれない。今日は来て欲しい。まぁ負け戦こそ面白いんだけどねwww」 あのニコニコして ホルモンを40分噛み続けた蓮が とんでもなく強いお客さんに恵まれ No.争いに参戦しているとの事だった。 私は当日に言われても 手持ちはそんなに無いよと伝えると 「さつきさんが隣にいてくれるだけでいい。」 と、蘭は言ってくれた。 私は蘭とはなんだかんだ 何年もの付き合いになっていた。 話の仕方で 勝ち筋がある事くらいわかっていた。 そしてそれが赤兎馬ちゃんなのも。。。 (行きたくない) 心からそう思った。 その日、私は用事があり 駅前のビジホに泊まる予定だった。 ビジホにつくとまずゆうたに電話をした。 こういった状況で私は行きたくない。 と、ゆうたに話すとゆうたは一言。 「行きたくなきゃ行かなきゃええ。うちにきたら?締め日関係ないからw」 と言われ、気が楽になった。 私の手持ちじゃ何も出来ない。 しかも自分の無力さに気付かされる為に わざわざ傷つきに行くのは嫌だ。 私は蘭の所へは行かないと決めた。 その日の夜蘭からは 何件もの着信があったが出れなかった。 締め日の忙しい中 蘭は私を迎えにビジホにも来ていた。 私はゆうたの所へ逃げた。 次の日、蘭には寝ていたと嘘をついた。 心が痛くなった私に 蘭は笑って 「寝てると思った!今月もNo.1取れたよ。ありがとう。」 と、私に言った。 後日、お店のブログには クリスタルを持った笑顔の蘭がいた。 蘭は私の知らない所まで行ってしまった。 もう手の届かない所まで行ってしまった。 私じゃ手に負えないくらい すごいホストになってしまった。 クリスタルの写真を見て泣きまくった。 そしてまた蘭から離れた。
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