どん底

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どん底

売り掛けの支払い期日は わりとすぐ迫っていた。 当日バタバタするのは嫌なので 面接の前の日に出稼ぎの地へ前乗りし その日は満喫に泊まることにした。 到着したその日は 軽くお酒を飲み次の日に備えた。 次の日の朝 満喫のシャワー室でシャワーを浴びた。 そこの満喫はわりと古めで シャワー室の入り口は 膝下くらいの高さがあった。 頭や身体を洗い終え シャワー室から出る為に バスマットへ片足をのせた瞬間 バスマットが勢いよく滑った。 まだもう片足が シャワー室へ残された状態で 高さもある場所で勢いよく滑った為 残された足は全体重がかかった状態で シャワー室の 入り口の角に強打してしまった。 片足で正座した感じのまま強打 と言えばわかるだろうか…。 そして強打した時に バキッとすごい音がシャワー室に響いた。 (いったな) と思った瞬間 起き上がれないくらいの吐き気が襲った。 満喫のシャワー室は 分単位でお金が発生する。 私は非常事態だったにも関わらず シャワー室の追加料金を気にして 吐き気を我慢しながら着替えをし 足をつかないように歩き 何とかフロントへ鍵を返した。 そしてブースに戻った私は 息を殺して痛みに耐えていた。 どうしよう。 地元じゃないから誰も頼れない。 ゆうたに話した所で こんなタイミングで信じてもらえるのか。 蘭なら助けてくれるかもしれない。 でもまずこの状況を話すには 他店に売り掛けをした事を 話さなくてはいけない。 蘭には売り掛けの事は話したくない。 とりあえず自宅の人へ連絡すると 迎えには行けない。何とか頑張れ。 と、見放されてしまった。 今まで好き勝手やってきた罰だ。 私は一人で病院を探し 病院で検査をすると しっかり足の骨は折れていた。 とりあえずその日は 病院へ泊まる事になった。 私は売り掛けの事で 頭がいっぱいになってしまった。
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