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「チャンスボール」と声があがる。
即座に相手は速攻を仕掛けてくる。それは前衛にいた赤木達がブロックしても、あと一ミリが届かず。そのまま僕とある先輩の間に落ちてくる。慌ててレシーブに入ろうとした、そのときだった。
鈍い音と共に重たい何かと衝突した感覚がした。
ある先輩と体がぶつかってしまったのだ。しかも、急ブレーキをかけるかのごとく、勢いよく。きっと彼の方も慌てていたのだろう。
その上ボールは僕の後頭部に当たってくるから、ハンマーにでも殴られたような衝撃を覚えた。
幸い、ある先輩はかすり傷程度ですんだのだが、その下敷きなった僕は左足を捻挫した。
そんな異例の事態に、今までの唐辛子を生で食べたときみたいな雰囲気は悪い意味で崩壊。チームを勝利どころか、敗北へと導いてしまった。
それでも強豪校相手にストレート負けながらも、2セット目デュース。24対24になり、2点差がつくまで試合は延長された。
その結果が28対26。期待の新星、旋風を巻き起こすなどと、報道するニュースキャスターもいた。地域からの祝福も大いに受け、一時はある先輩との衝突事件を忘れかけていた。
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