空に祈る少女

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左足の捻挫が完治して、一週間後。季節はすっかり秋となり、校内は紅葉に包まれる。 桜より、もみじやいちょうの木が多く植えられているからか、その分一層強く感じられた。 医者から許可をもらった僕は、さっそく早朝ランニングを再開させ、バレーもする。 久しぶりのネットの高さ。新鮮で、懐かしいボールの感触。 だけど____。 「くっそー!」 黄昏時もとっくにすぎた、体育館。 コートでは無数のボールが散乱していた。 その真ん中で、僕は力なく項垂れる。 おかしい、おかしすぎる。 何度、何度やってもサーブも、スパイクもネットすら超えてくれない。唯一、レシーブだけはインターハイの時と変わらず、安定しているというのに。こんなのって、ありかよ。 「もうそんぐらいにしとき。明日もあるんやし。な?」 隣でボール上げに尽くしてくれていた赤木が、慰めるように片付けを促す。 気のせい、だよな?明日になったら治ってる、よな?きっと、悪夢でも見ているだけだよな? わかってはいた。その割にはリアルすぎることは。でもそれより、信じたくない気持ちの方が圧倒的に勝っていた。 受け入れたくなかったんだ。この絶望的な状況を。 * あれからというもの、僕の放つサーブが、スパイクが、ネットを超えたことはない。 そのせいなのか、それとも衝突事件のせいか。何かと先輩から仕事を押し付けられることが多くなった。 ネットの出し入れや、コートの後片付け。 月に一回はやってくる、体育館倉庫の掃除。
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