8-7.扱いにこだわる

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 ビデオ会議を終えたら、茶谷さんが目の前の席に座った。 「さっきの、危なかったですよ。茶谷さん映り込むとこでしたからね?」 「なんで?別に堂々としてりゃいいじゃん、どうせそのうちバレるぜ」 「そのうちバレるのと、衝撃的にバラすのとでは、世間の印象が違います」 「衝撃的にバラす方が、楽しそうだな」 「そんなのは嫌です」  私がちょっと怒っているのに気が付いたのか、茶谷さんはこちらを窺っていた。 「会社のやつにバレるのは、本気で嫌か?」 「嫌っていうか・・恥ずかしいじゃないですか、なんか」 「青木もお前も、割と周りにバレバレだったけど」 「とにかく、なんかほら、一緒に生活している感じが漂っちゃうのは・・相手も気まずいじゃないですか」 「そういうもんか?」  茶谷さんはそう言って私の使っていたマグカップを取り上げ、新しい飲みものを用意しに行ってくれた。 「そのマグカップ、可愛いですね。元カノさんが使ってたやつですか?」 「は?結婚式の引き出物でもらったやつだよ」 「・・へえー・・」  違った・・。全然あてが外れちゃった・・。変に勘ぐったりして恥ずかしい。引き出物って、そうかあ、茶谷さんの年齢にもなれば、友達の結婚式にも呼ばれるに違いない。
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