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8-8.ツボに入ってます
茶谷さんの家で仕事をしていて、ふと気が付いた。私、着替えを持っていない。茶谷さんの話を鵜呑みにするなら、暫く私、この家にいて良いんだと思う。というか、居座らせてくれるというのなら、茶谷さんの気が変わらないうちに居座らないといけないんじゃないだろうか。
最初に荷物が少ないって言われたのは、多分、そういうことなんだろう。居座っていいなんて茶谷さんが言ってくれるなんて、想定外の想定外だった。
そりゃ、今だってとても緊張しているし、付き合った途端その人と一緒に生活するなんてこと、私の人生には全く無かった。
でも、相手は茶谷吾郎だ。きっとこのチャンスを逃して振られたら・・どこぞの女と、大して好きでもないくせにあっさり付き合う。なんとなく、そんな予感がする。悔しいけど。
ふと、夢の話を思い出した。あと2ヶ月・・。私がこの家にいるうちに、茶谷さんが命を絶ってしまったらどうしよう。考えたって仕方ないけど、付き合っている最中に止められなかったら、私、全ての希望を失ってしまうかもしれない。
PCを触る手を止めて、茶谷さんの顔を見る。向かいに座った茶谷さんは、スマホをいじっていた顔を上げて、なんだ?という顔でこっちを見た。
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