8-10.悪い男だ

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「茶谷さん、その身体どうやって鍛えたんですか・・」 「え?惚れ惚れする?」 「・・ええまあ」  実は、想像以上だったことがある。私は音楽友達とライブやフェスに行くので、割と男性の身体は見慣れている。汗をかいたらその場で堂々とTシャツを着替える彼らに、目が慣れていたのだ。だから、男性の身体には耐性がある、なんて思っていた。思っていたのに・・。  腹筋・・背中が・・美しすぎるんです・・。腕も足も胸もお尻もなんか綺麗な筋肉ついてるし・・あー・・キックボクサー舐めてたー・・。誤算だったー・・嬉しい方のー・・。 「キックは、全身にいい筋肉付くなと思って、20代入って本格的に始めたんだよ。前は空手だったけど、今より線が太かったかな」 「くそーカッコイイ。いちいちなんすか」  この人がモテなかったら、日本は沈没する。  ノロケて良いだろうか・・茶谷さんの身体は・・すごい。実は、さっき腹筋を撫でてしまった。なんか生きてたから、腹筋が。  茶谷さんをまじまじと見て思い知る。学生時代に出会っていたら、絶対に付き合えなかった人だ。アイドルと寝ると、こんな気分になるんじゃないかなって思う・・。私がこの人と付き合えたの、何かの奇跡。 「相当モテたんじゃないですか・・その・・学生時代とか・・」 「それ聞いてどうすんの?」 「いや・・何となく、そうかなって思ったから言っただけです」 「やめとけよ、また身体硬くなるぞ」 「もう答え言ってるようなもんじゃないですか」  ああ、私、簡単に捨てられるかも・・。思えば、私は大して取り柄などなく、人生でモテたこともない。それに加えて、身体に関することにもまだ課題が多い・・。ダメだ、絶望的すぎる。
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