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俺の妹は三年前、家に来てから部屋に閉じ籠ったまま出てきていない。
彼女の両親は俺の母親の妹、つまり叔母さんだ。叔母さんは三年前、旦那さんと共に交通事故で亡くなった。そして、色々あった後、俺の両親が引き取って連れてきたのがそこの部屋で引きこもっている妹、雨音鈴風だ。
俺の両親に手を握られ連れてこられた鈴風は真っ黒だった。一切の光を飲み込んでしまうようなそんな目と雰囲気だった。でもそれは無理もない、あの時はまだ小学四年生になったばかりだったのだから。
そしてそんな鈴風がやってきた時、俺はどんな言葉をかけて良いのか分からなかった。最初の頃は部屋からも出てきてくれたし食事だって一緒に食べた。ただ会話がなく段々と鈴風は引きこもっていった。
「鈴風、今日中学の入学式だろ。行かないのか?」
「…………行きたくない」
一段と小さな声で返事が返ってきた。ただそこには少しだけ迷っているような気配があった。おそらく鈴風も今日が止まっていた自分を再び動き出させるチャンスだと分かっているのだろう。
「そっか、行きたくないのなら無理にとは言わないが、でももし少しでも踏み出す勇気がでたのなら言ってくれよ……。なんでもするからさ。」
「………………」
言いたいことは言えたので自分の部屋に戻ろうと立ち上がった時、扉の奥からかなり鋭い反撃が飛んできた。
「お兄ちゃん…………キモッ」
「キモくありません!」
俺は先程の鈴風ばりの大声で答えてから部屋に戻った。
「鈴風ー、それじゃ俺バイトに行ってくるからな。12時過ぎには帰ってくるから」
部屋で着替えた俺は鈴風にそれだけ伝え家を出た。高校二年の俺は始業式は明日なので今日は午前中のみバイトを入れてある。なぜ午前中のみなのかと言えば午後は鈴風の中学の入学式があるからだ。
本当ならこういったことは俺の両親がするべきなのだろうが仕事が~とかでほとんど海外にいるためほぼ二人暮らし状態になっていた。全く無責任な人達である。
「ったく、あの糞親父とおかんめ……今何時だっけ、ん?」
愚痴をこぼしながらバイト先に向かう途中スマホで時間を確認しようとポケットに手を突っ込んだがなかった。どうやら家に置いてきたらしい。
「まだたぶん結構余裕あるし一旦取りに戻るか」
そうすぐに決め、少し足早に俺は来た道を戻ることになった。
アパートの二階に俺の家があるため階段を上り急いでポケットから鍵を出して入ろうと思った時、すぐ中に誰かがいる気配がした。もちろん中には鈴風しかいないので出てきてくれたと思った俺は勢いよく扉を開け飛び込んだ。
「えっ…………」
飛び込んだ俺の目に写ったのはむ、む……ねね、胸どころか全てをさらけ出した姿の妹だった。
「は、はは……よく出てきてくれた妹よ!」
「こんのぉ、変態バカ兄ぃ!!!」
妹のフルパンチが腹に直撃し俺の骨がポッキーのように折れました。
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