フェイズ1:プライマリ

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フェイズ1:プライマリ

 そこは何もかも黒い空間だった。  床はもちろん、天井や壁も黒い。  黒すぎて何もないように見えるが、きちんと足場は存在し空間が仕切られてもいる。  そこに1対の机と椅子が現れた。  机は天板が木、それ以外はスチールでできている。  4つある脚は天板からの荷重によって広がってしまわないよう、枠のような部品が左右と奥側をぐるりと取り囲んで先端付近を固定している。  椅子は背板と座面が木製、他はスチール製だった。  こちらも脚は4つあるが机ほど長くなく、荷重対策をとる必要がないため枠のような部品はない。  今、机の上にモニターとコントローラーが出現した。  天板の下にある収納スペースには、まるで闇夜に輝く猫の目にも似た小さな光がある。  それはパソコン本体の電源ボタンが放つ光だった。 「この席です」  どこかから少年・男子17が連れてこられ、椅子に座らされる。  するとモニターの電源が入り、画面に『ファンタジークエスト』という文字が大きく表示された。
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