0人が本棚に入れています
本棚に追加
それは明らかにゲームのタイトル名だった。
「あなたには、今からこのゲームをしてもらいます」
男子17を連れてきた大人が、指で自身の眼鏡をくいと上げながら言う。
この大人は灰色のジャケットとタイトスカートを身に着けた女性17で、背中からは白い翼が生えていた。
「は、はい」
男子17は緊張しつつ返答する。彼は戦隊ヒーローの絵が描かれた半袖のシャツを着ており、無地の青い半ズボンを履いていた。
半ズボンから出た足はまだ成長しきっておらず短い。男子17が椅子に座ると、足と床の間に少しばかりの空間ができた。しかし彼は、足をぶらぶらと遊ばせることなくぴたりと宙に止めている。
男子17が足を動かさないのは緊張のせいもあるが、ここに来るまでに女性17から行儀よくするよう厳しくしつけられているためでもあった。彼は背筋をしゃんと伸ばし、ぴたりと閉じた足の上に両手を置いてじっとしていた。
行儀のいい子ども、いわゆるいい子でもゲームができるのは嬉しい。男子17は女性17の表情をちらちらとうかがいながら、コントローラーに手を伸ばせる時を今か今かと待っている。
最初のコメントを投稿しよう!