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「えっ?」
「ごらんなさい」
女性17はそう言って、両手を左右に広げた。
男子17が周囲を見ると、そこにはいつの間にかたくさんの机と椅子が並んでいる。それぞれの席には、彼と同じようにゲームをしている子どもたちがいた。
ひとりの子どもにつきひとりの大人がついて、ゲームのやり方を教えている。
だが敵を倒せた子どもは、男子17以外ひとりもいない。
「『とくぎ』ってなんだ? これぜってーつえーやつだろ!」
まだ覚えてもいない『とくぎ』を選択し続けて、スライムを倒せずに負ける子どもや、
「てきってなに? せんとうってなに? こわいよ~、こわい…!」
必要以上にスライムを怖がって『ぼうぎょ』ばかりをする子ども、
「ちょっと! わたしがあそぶキャラなのに、なにももってないってどういうこと!?」
敵の存在などどうでもよく、装備品以外のアイテムを全く所持していないことに文句を言う子どもなど、多種多様だった。
彼らはみな、大人の言葉を聞こうとしていない。
「なんでぼくみたいにやらないんだろ…?」
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