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その27
「マキ、家に来てくれるか?俺も嫁さんも、喜んで招待するよ。子供たちにも会わせたいんだ。俺の、とっても大事な人だって。」
「行くよ、行く行く。行くに決まってるじゃない。」
ワタシは大きく声を張り上げた。最後に残ったエネルギーをすべて使って。
「ビックリしたよ!ビックリしたけど、今まででいちばん嬉しいニュース。まさか龍クンといずみがね~。でも、お似合いだと思う。ワタシとなんかより、ずっとお似合いだよ。」
「いや、それは…。マキ、ありがとうな。」
「いずみにも会いたい!話したいこと、いっぱいあるもん。ワタシだって謝りたいし。絶対に行くから、そう言っといて。」
「もちろん。嫁さん、泣いて喜ぶよ。打ち上げに出るつもりだったけど、俺も帰ろう。早く帰って、嫁さんに伝えなきゃ。」
彼はそう言って、背筋を正した。
晴れやかな顔をしていた。長年の重荷をすっかり下ろした顔。
ワタシも負けじと、同じような表情を作って見せた。
ちゃんとできていたかどうかは、自信がない。
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