目撃

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目撃

教室へ戻ると、転校生は男女問わずクラスメートたちに取り囲まれて質問責めにされていた。 ただの転校生ならきっとここまではならないだろう。 男子たちは一様に鼻の下を伸ばして、連絡先を手に入れようと躍起になっているのがわかった。 その中に柊真と遊星の姿がないことを確認して、あたしとヒナは目を見交わせて安堵のため息を吐きだした。 「へぇ! 前の学校では学年トップの成績だったんだね!」 女子生徒の興奮した声が聞こえてきて、あたしの耳はピクリと動いた。 「しかも1年生で陸上部のキャプテンだったの? すごいじゃん!」 そのざわめきにまたも不安が襲って来た。 見た目だけじゃなく、彼女は勉強やスポーツにも長けているらしい。 まさしく才色兼備なようだ。 時折聞こえて来る彼女自身の声に耳を向けてみると、「そんなことないよ」「この学校の生徒さんたちはみんな素敵ね」などと、自分を謙遜する言葉とみんなに憧れを抱く言葉が聞こえて来る。 これが彼女自身の本心だとしたら、相当なものだ。
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