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考えただけで体全身が熱くなるようだった。
キュッキュッと音を立てながら階段を下りきり、昇降口へ向かう。
普段は叩く軽口も意識しすぎてしまってうまくいかない。
会話は途切れがちで、でも隣を歩く柊真はなにも気に止めていない様子だった。
そのまま2人で外を出た時大西さんがクラスメートの男子に呼び止められるのが見えた。
男子生徒は真っ赤な顔をしていて、しどろもどろ話かけている。
「あいつ、まさか告白する気か?」
柊真の口から『告白』という言葉が出て来た瞬間、心臓が大きく跳ねた。
「ま、まさかぁ」
あたしは緊張でカラカラに乾いた声で返事をする。
「2人でどっかに行くぞ、ついて行ってみるか」
「え?」
「ちょっとだけ。気になるだろ?」
そう言う柊真の顔は好奇心旺盛な少年の顔になっていた。
「でも、もし告白だとしたら申し訳ないよ……」
今日まさに自分が柊真へ告白しようとしているのに、他人の告白シーンを覗く余裕なんてなかった。
しかし、柊真はあたしの言葉が聞こえていなかったようでズンズンと歩き出してしまった。
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