転校生

3/10
前へ
/206ページ
次へ
阿住遊星(アズミ ユウセイ)。 ヒナと同じで1年生の頃から仲良しだ。 遊星は気だるそうに片手を上げて大きな欠伸をした。 いつもはツンツンに立ててセットしている髪の毛が、今日はダラリと垂れ下がっている。 本人も髪型も、なんだか今日はやる気がなさそうだ。 そんな遊星へ向けてヒナが小走りに近づいていった。 「おはよう遊星」 「おぉー」 挨拶の返事とは思えない返事をして、また欠伸。 「どうしたの遊星。昨日遊び過ぎたの?」 あたしはヒナの後ろから声をかけた。 遊星は大きく頷く。 「あったりまえだろ? 俺は遊ぶ星に生まれたんだからな」 遊星はそう言って胸を張り、また欠伸をして涙目になっている。 遊星はその名の通り遊ぶことが大好きで、アウトドアな遊びも、インドアな遊びも、ほとんど制覇している。 時々一緒に遊びに行くと、どうしてこんなお店を知っているんだろうと感じる、飲み屋なんかにも詳しかった。 「遊びもほどほどにしときなよ……?」 ヒナは本気で遊星のことを心配してそう言った。
/206ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加