転校生

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花が咲くときに音がするとすれば、きっと彼女の声のような音だろう。 容姿と平凡な名前がマッチしないくらいだ。 彼女の名前は西園寺麗華とか、伊集院美花とか、そう言った名前の方がしっくりくる。 「大西さんは開いている席に座って」 先生の視線があたしの後ろの席へと向かい、ドキッとした。 どうしてひとつ席が空いているのだろうと思っていたけれど、大西さんの席だったようだ。 「はい」 大西さんは頷き、スッを伸びた背筋であたしの後ろの席へと向かう。 彼女が横を通る瞬間緊張から思わず生唾を飲み込んでしまった。 「よろしくね」 あたしの席を通り過ぎる寸前で、大西さんは声をかけてきた。 なんの変哲もない普通の挨拶だったのに、あたしの心臓はまた大きく跳ねた。 「う、うん!」 たったそれだけの返事をするのにも、声が裏返ってしまったのだった。 ☆☆☆ 「信じられないほどの美人……」 休憩時間になり、女子トイレへと駆け込んだあたしはヒナへ向けてそう言った。 「確かに……」 あたしとヒナは同じように腕組みをして鏡の前に立っていた。
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