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他には個室を使う生徒がチラホラいる程度だ。
「あんな美人ってなんだか嘘くさいよね」
ヒナがトイレの床を睨み付けてそう言った。
「嘘くさい?」
聞き返しながらも、なんとなくその気持ちは理解できた。
あれだけ美人だと作り物ではないかと疑ってしまう。
「整形、してたりして」
ヒナがあたしの気持ちを見透かしたかのように呟く。
「もしそうだとしても、美人は美人だよね」
「でも、嫌じゃない? 整形なんて」
ヒナがトゲを含んだ声になるのは転校生を敵視しているからだろう。
誰でも、突然あれだけの美人が現れると焦るだろう。
特に、好きな人がいる生徒たちは。
ヒナだって、普段から整形に対して否定的な意見を持っているわけじゃない。
冗談で『整形した~い!』なんて話も、いくらでもしてきている。
「柊真たちも、ずっと転校生の事を見てたよね」
あたしが言うと、ヒナは黙り込んでしまった。
転校生となるとそれだけで目立つ存在だ。
それがあれだけの美人なのだから、見るなという方が無理だろう。
「きっと大丈夫だよ。柊真と心美はいい雰囲気だから」
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