23人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
悪役令嬢戸惑う
ウェーブのかかった金色の長髪を靡かせ、従者を連れて廊下を歩くわたくしの名は【セレスティナ・シュツール】。
国王の右腕として名高いシュツール家の息女である。
そんなわたくしは勉学の為、平民も通えるルーベンス女学園に通っているわ。
美麗衆目、才色兼備と兼ね揃え、謀略を得意とするわたくし。
しかしそんな完璧な者とて、悩みはあるもの。
それは、おこぼれを頂戴しようとする下級貴族の事。
「セレスティナ様、あちらの貴族がこちらを」
付き人の一人が持ってきたのは金塊。
見れば大したドレスも着れない下級貴族の様。
愚かしいわね、わたくしが金で困ると思っているのかしら。
非常に不満だわ。
「あの者を連れてきなさい」
「はっ! 仰せのままにマイマスター」
男装をしている最も信頼の置ける付き人が、金塊を渡してきた貴族の娘を連れてくる。
見ればみるほどみすぼらしい。
そんな服装でよくわたくしの前に出てこれた物だと感心するわね。
「ご、ご機嫌麗しゅうセレスティナ様......」
余程わたくしが怖いのね。
肩は震え、顔を強張っている。
下等な者が怯える姿は何度見ても甘美な物ね。
「誰が口を開いて良いと言ったのかしらね」
「ひっ! も、申し訳ございません!」
「ふん! ルーシェ、金塊を渡しなさい」
「はっ! こちらに御座います!」
男装の麗人が跪きながら差し出した金塊を持ち、様々な角度から眺め、それを下級貴族の娘に投げつける。
最初のコメントを投稿しよう!