悪役令嬢戸惑う

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悪役令嬢戸惑う

ウェーブのかかった金色の長髪を靡かせ、従者を連れて廊下を歩くわたくしの名は【セレスティナ・シュツール】。 国王の右腕として名高いシュツール家の息女である。 そんなわたくしは勉学の為、平民も通えるルーベンス女学園に通っているわ。 美麗衆目、才色兼備と兼ね揃え、謀略を得意とするわたくし。 しかしそんな完璧な者とて、悩みはあるもの。 それは、おこぼれを頂戴しようとする下級貴族の事。 「セレスティナ様、あちらの貴族がこちらを」 付き人の一人が持ってきたのは金塊。 見れば大したドレスも着れない下級貴族の様。 愚かしいわね、わたくしが金で困ると思っているのかしら。 非常に不満だわ。 「あの者を連れてきなさい」 「はっ! 仰せのままにマイマスター」 男装をしている最も信頼の置ける付き人が、金塊を渡してきた貴族の娘を連れてくる。 見ればみるほどみすぼらしい。 そんな服装でよくわたくしの前に出てこれた物だと感心するわね。 「ご、ご機嫌麗しゅうセレスティナ様......」 余程わたくしが怖いのね。 肩は震え、顔を強張っている。 下等な者が怯える姿は何度見ても甘美な物ね。 「誰が口を開いて良いと言ったのかしらね」 「ひっ! も、申し訳ございません!」 「ふん! ルーシェ、金塊を渡しなさい」 「はっ! こちらに御座います!」 男装の麗人が跪きながら差し出した金塊を持ち、様々な角度から眺め、それを下級貴族の娘に投げつける。
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