決意がもたらしてくれたもの

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実は、俺は学年一の俊足だ。 なのにサッカー部では万年補欠だった。 俺の足はボールと相性が悪いらしい。 取りこぼしたボールは数知れず。 大学受かってからも俺はサッカーをやめなかった。 恥も知らずに下級生と混じって頑張った。 俺ってマイペースといおうか、周りの声を気にしないといおうか、決めたらやり通したい性格なんだろうな。 最後の試合、顧問がお情けで俺を試合に出してくれた。 押されていた俺達はひたすらディフェンス。 スライディングで守るはずが、俺の足にあたったボールはきれいにゴールポストを揺らした。 見事なオウンゴール。 最後の最後にこれだよ。 みんな顔を腕に押さえつけているから、泣いているのだと思った。 違った。 吹き出すのを我慢しているだけだった。 きっと、あいつらとだったからサッカーを最後までやりきれたんだろうな。 「チャラリ」 ポケットから部室の鍵を取り出す。教室に行く前に部室に向かおう。
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