42人が本棚に入れています
本棚に追加
実は、俺は学年一の俊足だ。
なのにサッカー部では万年補欠だった。
俺の足はボールと相性が悪いらしい。
取りこぼしたボールは数知れず。
大学受かってからも俺はサッカーをやめなかった。
恥も知らずに下級生と混じって頑張った。
俺ってマイペースといおうか、周りの声を気にしないといおうか、決めたらやり通したい性格なんだろうな。
最後の試合、顧問がお情けで俺を試合に出してくれた。
押されていた俺達はひたすらディフェンス。
スライディングで守るはずが、俺の足にあたったボールはきれいにゴールポストを揺らした。
見事なオウンゴール。
最後の最後にこれだよ。
みんな顔を腕に押さえつけているから、泣いているのだと思った。
違った。
吹き出すのを我慢しているだけだった。
きっと、あいつらとだったからサッカーを最後までやりきれたんだろうな。
「チャラリ」
ポケットから部室の鍵を取り出す。教室に行く前に部室に向かおう。
最初のコメントを投稿しよう!