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不在
「ねぇ、チヨメとエリックは?」
夕飯の時間はとっくに過ぎているのに、一向に顔を見せない二人。
それを心配したシュウジが、その場にいた全員に問いかけた。
「あれ、そういえばいないね」
ロロネが辺りを見渡すが、当然そこにエリックとチヨメの姿はない。
「え?チヨメとエリックいないの?もしかして……?」
ルイスがニヤリと笑う。
「エリック、ついに男になったんじゃねえの?だってチヨメとエリック、今日はずっと二人で作業場にいたよねぇ」
ニヤニヤするルイスに、フローレンスが呆れたように口を開いた。
「そんなわけないでしょ」
だが、二人揃って来ないなんて初めてだ。船員の中でも食い意地はかなり張っている二人だから、ご飯をすっぽかすなんてことあり得ない。
「でも……心配だね」
フローレンスの言葉にルイスがうーんと唸る。
「じゃあ俺が見てくるよ!もしソウイウコトだったら、まあ……シュウジ、あとで赤飯でも運んであげて」
意気揚々と鼻歌を歌いながらキッチンから出ていく背中に、シュウジとフローレンスは顔を見合わせながらため息をついた。
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