遭難

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遭難

「ってて……」 エリックが目を開けると、そこはどこかの島の砂浜らしき場所だった。 「……チヨメちゃん!?」 ガバッと起き上がると、頭に鈍い痛みが走る。 「ってぇ……」 エリックが辺りを見渡すと、うつ伏せで倒れているチヨメの姿が見えた。 「チヨメちゃん、大丈夫?」 そっと抱き起こすが、やはりピクリともしないチヨメ。 もしかして……! そっとチヨメの口元に耳を寄せる。微かだが呼吸をする音が聞こえて、エリックはほっと息をつく。 「チヨメちゃん?大丈夫?生きてる?」エリックがそっとチヨメを揺らすと、うっすらチヨメの目が開いた。 「チヨメちゃん……!」 チヨメの虚な目がエリックを捕らえる。そしてチヨメの小さなが伸びてきて、エリックの頬に触れた。えっ、と場違いなチヨメの行動に動揺するエリック。だがそれは期待していたものとは違い、チヨメの手がエリックの口を塞ぐ。 「……エリックくん、ちょっと静かにして。頭痛いから」 少し眉間にシワを寄せてエリックを見るチヨメに、エリックはあっと察したように大人しくなった。 「ん、よろしい」 それをみたチヨメがそっと手を離すと、エリックの頬がぽっと赤く染まる。それを見てチヨメが首を傾げた。 「エリックくん、風邪引きました?大丈夫?……っくしゅん!」 エリックにそう聞いたのに、くしゃみをしたのはチヨメの方。それを見たエリックがぷっと吹き出した。 「あははっ!チヨメちゃんこそ大丈夫?」 そういえば二人ともずぶ濡れだし、日も沈んでいる。このままじゃ本当に風邪をひいてしまうだろうし……。とエリックが頭を悩ませていると、チヨメがゴソゴソと自分の服の中をあさり出す。 「ちょ、チヨメちゃん!?何してんの!?」 自分の腕の中でチヨメがそんなことをしだしてエリックは慌てるが、そういえばとあることを思い出した。 「ライター、さすがにつかないんじゃない?」
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