ポンコツ・ハゲ太郎

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ポンコツ・ハゲ太郎

僕の名前は本多。 意地の悪い先輩から「AKB(青森出身・高身長・ブサイク」と呼ばれている。 だが、僕もウケるし大きくは間違ってはいないので、それほど悪い気はしない。 そんな僕の会社には「ポンコツ・ハゲ太郎」と影で呼ばれている人がいる。 これも、意地の悪い先輩がつけたあだ名だ。 「とっとこハム太郎」では無い。 「ポンコツ・ハゲ太郎」である。 他のおばちゃんは、彼の頭の姿から 「真田幸村じゃん!(笑)」 と歴史上の人物のあだ名で笑いながら呼んでいた。 そのポンコツ・ハゲ太郎さんは40代で、薄毛では無くモロにハゲてしまっているのだが、それは外面的特徴であり仕方のないことなのでこれ以上触れないが、どのくらい仕事が出来ないポンコツであるかの例を出そう。 ポンコツ・ハゲ太郎さんの事は、長いので仮に「ポンさん」と呼ぶことにする。 まず、15時から忙しくなる日には、決まって15時にフレックス退社する。 そして、2ヶ月前から決定した「忙しくなる1週間」は誰も休みを取らないが、ポンさんはお構いなく休みを取る。しかも連休。 単身赴任で一人暮らしであるため子供の行事等では無い。 試しに休暇理由を聞いてみたが、ただの有給消化だった。 なので、意地の悪い先輩が 「他の日にしてくれませんか?」 と頼んでも 「もう申請しちゃったー」 と、申請は取り消せるし言い訳にもなっていない。 そもそも「忙しくなる1週間」の事すらポンさんだけは覚えていない、あるいは気にしていないようだった。 他にも例を出そう。 ある日のこと、 僕「ちょっと会議に参加してきますので、ポンさん、僕の電話を持っててもらって良いですか?」 ポンさん「オッケー」 1時間の会議後 僕「どうもありがとうございました。誰かから電話有りました?」 ポンさん「○○さんから電話あったよー」 僕「要件はなんでしたか?」 ポンさん「いや、聞いてないよー」 僕「・・・(電話に出んわ。なるほどポンコツ)」 この広い世の中には、ホントに「電話を持ってただけ」な人がいるのだ。 「電話が鳴ったら出て下さいね」と加えなければならないのだ。 昔からの笑い話でもよくある話で、 Aさん「ちょっとこのカバン見ててねー」 Bさん「はいよー」 しばらくして Aさん「え?カバンは?」 Bさん「見てたら知らない人が取ってったよ!」 Aさん「え?え?その人はどこ?」 Bさん「知らないよ。だってカバン見てって言われたからカバン見てただけだよ」 と、まったく同じである。 では、ここで急だが問題を出そう。 ここまでポンさんの事を伝えてきたので、もしかしたら分かる人には分かるかもしれない。 会話の中で、ポンさんの返答を考える問題だ。 2問あるのでぜひ挑戦してほしい。 では一問目 僕らの職場のトイレの故障により、トイレの度に一旦外に出て、別の建屋のトイレに行かなければならなかった。 さらに、その工事が3ヶ月も続いたのだ。 工事開始からやっと3ヶ月が経ち、工事も完成間近になった時に、トイレのある別の建屋で、ポンさんとすれ違い 僕「やっとトイレ直りますねー」 と僕が言った時の、ポンさんの回答はなんでしょうか?? ヒント:ポンさんは僕の言葉を聞いた後、少し時間を置いてからの返答である。 普通なら 「そうだねー」 とか 「長かったねー」 とか 「建屋が遠いからねー」 だと思うだろう。 だが違うのだ。 正解は・・・ 「暑いねー」 である。 もし正解者がいたら教えて欲しい。 遅くなったが、ポンさんは「国立の有名大学」を卒業しており、学歴はかなり上だ。 おそらく賢すぎるため、会話を1つ以上飛ばしているのだ。 先程の例で示そう。 僕「やっとトイレ直りますねー」 ポンさん「そうだね、大変だったね」 僕「真夏じゃなくて、もっと気候が良ければまだ良かったんですけどねー、外を歩くだけでも暑かったですよねー」 ポンさん「暑いねー」 おそらくこうなのだ。 では二問目 ポンさんは大型バイクに乗っており、僕は原付バイクに乗っている。 そして、赤信号で並走して止まった時に ポンさん「原付乗ってるんだ」 と声をかけられた。 僕「そうなんですよ」 僕も簡単に回答した。 ポンさん「もっと大型の買えば良いじゃん」 続けて会話が続く。 僕「通勤だけなのでこれで良いですよ」 ポンさん「大型だと遠出もラクだよ」 僕「でも興味はあるんですよねー、大型だと高速道路もラクですか?」 さて、この質問にポンさんはなんて返答したでしょうか? 普通なら 「ラクだよ」 「車の方が良いよ」 「高速は乗らずに下道が良いんだ」 とかだろう。 では正解は・・・ 「・・・」 シカトである。 なぜか急に会話が終わったのだ。 赤信号はまだまだ続いていて、そのまましばらくお互いに無言のまま時間が経ち、やがて青信号になって ポンさん「じゃあお先に」 と言って大型バイクで走り出した。 もはや謎である。 それまで会話をしてきたから聞こえてない訳では無い。 だが、ある時に急に様々なスイッチが入るのだろう。 そんなポンさんだが、良くも悪くも年功序列で育ったため、僕より遥かに仕事のランクが上で給料も上なのがまた腹立たしい。 そして空気が読めない。 先日も別の3人からポンさんに対するグチを聞いた。 内容はだいたい同じだ。 「ポンさん、こっちが忙しくしてるのに、どーでも良い話を長々とするんですよ!」 「ポンさん、どうせ何もやらないからもう私が終わらせました!」 などである。 どうしてこう、ろくでもない人間となってしまったのだろうか? そんなポンさんも、上司からも嫌われてしまい、今年で異動になる。 さよならポンさん。 また会う日まで。 もう会いたくはないけれど。 それが、ポンコツ・ハゲ太郎さんと出会った2年間であった。 以上です。 こんなしょうもない話を最後まで読んでいただきありがとうございます。 複数のグチを繋げたら一つの小説が出来ました。 きっと、彼はこれからもネタを周りに振りまいてくれることでしょう。
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