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……もしやせたら、どんな言葉が出てくるのだろうか。
体重計を遠巻きに見ながら、ある好奇心が私の中でめばえた。
そして、それから半年後、ついに私はほめてもらえた。
「えっ。すごいスリム」
友人が拍手している。
半年ぶりに会った友人からの称賛が、ほめ言葉第一号だった。
「どうしたの。彼氏でもできた?」
「彼氏というか、イケメンがウチにいてね……」
……でも、イケメンはもうウチにはいない。
さわやかイケメンの声はダイエットしている間、ウチであぶらなセリフを言い続けた。けど、六十キロを切ったとたんにしゃべらなくなったのだ。
改めて説明書に目をとおしてみたら、注意事項に[ダイエット応援のための音声につき、目標体重到達後は音声がでません]と書かれていた。
あちゃーとおもったけど、減量に成功して最高にさわやかな心地に私は満たされいた。さわやかイケメンの声を聞いているときは、全然さわやかな気分にはならなかったのに。
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