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玄関の呼び鈴を聞いた私は、床が悲鳴をあげるのも構わず猛突進した。
ドアを開ければ、宅配業者がお待ちかねの商品を抱えている。鼻息を荒くして受け取り、リビングで荷をほどく。箱を開ければ、私の救世主様、「さわやか体重計」が姿を現した。
この体重計、さわやかイケメンや少女の声でダイエット応援してくれる。いい声に励まされて減量に成功できるという謳い文句で宣伝をしていた。なんどもリバウンドし、そのたびに重たくなっていた私は、一縷の望みを抱いて購入してしまった。
体重計はちょっと分厚いタブレット型端末みたいな形だ。両足を置く位置の間に画面があり、体重が表示されるようだ。耐荷重二百キロらしいけど、相撲取り体型の私が乗って壊れないのか不安になるスタイリッシュさである。
ざっと説明書に目をとおしてみる。希望体重などの初期設定を入力することで、声援が出るらしい。
「ふむふむ。目指すは六十キロで。モードはノーマルでいいか」
早く使用したくて、説明の読みこみもそこそこに、画面横のボタンを操作して体重計に乗った。
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