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息は荒いが全身ぐったりとした感じで、そうとう具合が悪そうに見える。
紅潮した顔も時折苦しげに咳き込みそうになる呼吸も、寒いと首まですっぽり引き上げた布団の中で体を丸めている様子も。
まるで一昨日夜の自分のよう――ではないのか。
「昨日の部活終わりから具合が悪そうではあったんだよ」
「え……」
「で、朝起きたらもうこんな感じだったって。たぶんただの風邪だろう、って翔は言ってたけど。でもこの分じゃさっきよりずいぶん熱上がってるなーきっと……」
どのくらい熱があるのかは教えてくれなかったけどね、と腕時計に視線を落として侑希。
やっぱり自分が風邪を伝染してしまったのだ。
思い至り彩香は唇を噛む。
あるいは――伝染したのでないとしたら……。
(やっぱり早杉さんの服、借りるべきじゃなかったんだ……)
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