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「ご、ご家族は……?」
「一昨日から旅行だって。明日の夜まで誰も帰ってこないらしい」
「だ、だったら……よ、瑶子さん呼ぶべきじゃないのっ?」
「え?」
自ら口にしながらもチクリと胸が痛む。
が、そんなつまらない動揺や痛みに振り回されている場合ではない。
好きなヒトに、いつまでもこんな苦しい状態のままでいてほしくない。
「彼氏がこんな大変な状態ってわかったら、きっと瑶子さんだって……。だ……だからほら、電話っ」
心配でしょうがなくてすぐにでも駆けつけてくれるはず。
そんな誰でも考えつきそうなことを、なぜ彼は見逃してしまっているのだろう。
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