18.Trèsor――Ⅲ(5)

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「だって、すべてを奪っておいて愛してるなんて言えないもの」 「――」  素直な告白を聞けたのはよかったが……というより何でそれ本人に言わないんだ?などと物申したい気分になっているうちに。 「顔見ちゃうとずるずる離れられなくなりそうだし、ケンジだってますます気を遣ってくれちゃうだろうから、黙ってこのまま引っ越しちゃおうかな……」   しまいにはそんなとんでもないことを、いずみは言い出した。 「でもホント、翔くんのおかげで吹っ切れそう。いろいろありがとう。そしてごめんね? すっかり巻き込んじゃったね」 「や、そうじゃなくて……ダメだって! アイツはそんなこと望まない! 絶対!」
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