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それから三日後の水曜日。
日も暮れかけたいい頃合いを見計らって、翔は【Trèsor】を訪れていた。
鈴の音とともに、いらっしゃいといずみが控えめに笑う。
(よかった……)
彼女がとっくに黙って姿を消してしまっていたらどうしよう、と実はここにたどり着くまで気が気ではなかったのだ。
まだ居てくれたことに感謝しつつ内心でかなりホッとしていたところに、店の黒エプロンを片手にケンジが奥のスタッフルームから出てきた。
「よう」といつもどおり翔に声をかけてカウンターに入り、普通に……いずみの背後を通り抜けてコーヒーメーカーへと向かう。
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