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「……『こいつを失えねえ』と思ったら体が動いてた。そんだけだ」
「いずみさんが刺されそうになったってワケじゃねーのに?」
「同じことだ」
やけにきっぱりと間髪入れず言いきったわりには、ケンジの表情がわずかに翳った。
手はゆっくりと再びバンテージを巻き始める。
「……あのまま刺してたら、いずみは今ここにいねえだろうからな」
収監されて、ということだろうか。
それとも今度こそ本当に自分で……ということか。
どちらにしても、確かに。
そうなっていたら今あの店で仲間たちと朗らかに笑っていることなんか出来ず、翔とも知り合えなかったはず。
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