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「これのせいで、あいつを縛り付けることになっちまった」
縛る、って……。
想像したほど大きくはなかった刺傷の痕からケンジの顔へと視線を移し、翔はやや眉をひそめる。
「結果的に俺にケガさせたってことで、いずみはパニくって罪悪感で……とにかく大変だった」
「……」
「そんでもいくらかマシになって、一人でいさせても大丈夫なくらいになったら……今度はとにかく償おうとすんだ。俺に。罪の意識からか何でもな」
死のうとしたのも、償わなければならないと思っているのも、聞いたとおりだった。
将来を奪ってしまった、といずみはひたすら自分を責めていた。
だからその心情はわからなくもない。
だが……
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