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互いのグローブを軽く打ち合わせて始まったスパーリングは、思いのほか長く続いていた。
二分を待たずどころか一瞬で殴り倒された前回と違って、まだ足は動くし打たれてもいない。
……というのもとにかく踏み込みに行く隙が与えられず、ケンジも本気で殴り倒しに来ないから、に過ぎないのだが。
そういう大人対応もわかってしまうだけに、なおさら翔の苛立ちは加速した。
「どうした? なる早で俺を倒すんじゃなかったのか?」
「る……っせ!」
飛んできた嫌味に、思わず繰り出したストレート。
タイミングがずれ、目指したポイントにすでにケンジはいなかった。
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