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「うらああっ!」
……が。
意気込んでそのままボディブロー――と見せかけたフェイントにはやはり引っ掛かってくれず、ワンツーから続けざまに出したフックも、とっくに読めていたらしいケンジにあっさりガードされた。
いつも以上に神経を使って忙しなく足も動かし、隙あらばパンチを繰り出しているため、翔の息はすでにあがっている。
対して、敵は余裕綽々でゆるやかにステップを踏みながらすべての攻撃をガードし避けていた。呼吸も平時とまったく変わらず、である。
しかも、いつもならブロッキングすると同時にすでに攻撃態勢に入っているのに、今日はまったく反撃してこない。
そんな処にもどうしようもなく腹が立って、ますます翔は歯噛みした。
「打って……来いよこらあああ!」
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