173人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、行ってきます!」
「…早よ、行け」
翌昼。元気ハツラツで会社に行った正義をベッドの上で見送った後、抑えきれない怒りから近くにある枕を殴った。
(あのっ、絶倫野郎!)
腰が、だるい!
まだ尻の奥に挟まってる感覚が消えない。
泣きすぎて目は赤いし、喉も枯れ果てた。
「…」
そっと頸に手を回すと化膿しないように手当が施されていた。
「Ωじゃねぇんだぞ、俺は…」
ぽそっと呟いた言葉だが、そんなことは桜井も理解している。
これは、αのマーキング行為。ひとり外出中の譲に他の男達が近寄らないよう、牽制するのが目的だ。
『俺は譲さんしか いらない』
赤く蒸気した頬。はっきり逃がさないと執着心を濃くした、獰猛な目の色。でも体に触れるその手は酷く優しい。
それを間近で見てテンションが爆上がりした譲は、キツく中にあるものを締め付け、
『せき、ぎぃ…もっと、噛んでぇ…っ』
涙や汗でぐちゃぐちゃの顔でも、腕を回して強請るその姿。
この発言により一回が一回で終わることもなく、最後は呂律が回らなくなっていた。
(……死にたい)
いやいやいやいや。俺もご無沙汰だったし、最近までは他のαで発散してたからちょっと余裕がなかっただけだ。
つまり今回はお互いが欲求不満で気持ちが昂っただけ。
(……が。このままじゃ、俺がヤバい)
またしばらく出来ないと宣言していた。あの絶倫体力お化けに毎回付き合わされていたら、尻が壊されるどころかヤり殺される。
運命の一言なんかで、俺をくれてやるものか.
優先順位の一番は俺。
そこを覆す気など、さらさらないのだからー…
最初のコメントを投稿しよう!