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1個目(21.12.19加筆・修正済)
…ッ ピピピ、ピピピ
耳元で喧しく鳴る、スマホのアラーム音で目覚める朝。
「……るっせぇ」
ここはどこで、昨日は何時まで飲んだ…?
まったく、記憶にない。
なんとか目を開けスマホを見れば、午前7時。
(くっそ、気持ち悪いー…)
重い体を起こし周囲を見渡すと此処がラブホの一室で、ズキズキと頭…ではなく、腰に響く痛みと尻の奥に残っている若干の異物感。
まさかと自分の身体を確認すれば、下着すら身に付けていない、素っ裸の状態。さらに、こちらに背中を向けて寝ている男の背中があった。
「…………………」
最悪だ…。なにがあったかなんて、深く考えなくとも分かる。
二日酔いと、やらかした後悔から溜息をもらす。
「はぁ…」
昨夜の接待で、かなり悪酔いしてしまった記憶はあった。
よくあることだ。取引先に気に入られての、接待。
以前、会社の接待で最後まで潰れることなく酒に付き合った依岡 譲を気に入り、また打ち合わせがてら会って飲みたいと誘ってくれた。
その後は終電がなくなるまで付き合わされ、そのまま一緒にホテルへGO。
そして、いまに至るのだろう
そんなことは、よ――――く考えずとも理解できた。
飲み会からの性行為なんて、まぁよくある事だ。少なくとも俺にとっては。
けど、その記憶に待ったをかけた。
(いや、…確か、タクシーに乗せて見送ったような?)
朧気な記憶であるが、誘ってくれたことに感謝の頭を下げた気がするし、そんな譲に先方は機嫌良く『また飲もうね』と笑顔で挨拶をしてくれた。
となると…、コイツは行きずりの男となるのだが…。
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