運命をください(後日談)

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運命をください(後日談)

依岡譲、26歳。男のβ。 現在は、年下でαの桜井正義のパトロン…本人曰くはビジネスパートナーとしての愛人契約を結んでいる。 自他共に認める容姿端麗であり、その性格は… 「譲、さんっ、譲さん…!」 「ん、あ"っ、ぁぁ」 ギシギシとベッドを軋ませながら2人の男は絡み合う。 四つ這いになった譲を後ろから激しく攻め立てる正義は、貪るように譲の中を堪能している。 「お前っ…!も、っと…、ゆっくり、…あ、あっ!」 「すみ、ません…!久しぶりなので…」  ポタポタと汗が顔の輪郭を伝い譲の背に落ちる。 最近、正義は仕事が忙しくこのマンションに帰ってきても寝て起きたらまたすぐ会社に行かねばならない状態だった。 深夜にタクシーで帰ってくるくらいなら会社の近くに泊まればいいだろ?と提案したが『譲さんに会わないと俺は枯れます!』と泣かれた。 そんなこんなで、ようやく明日は半休を取れたらしく、久しぶりのセックスに体も理性もはち切れそうなほど暴走していた。 「…、ここ噛んでもいいですか?噛んでもいいですよね?」 「ひっ、ぁっ、ま…!…痛"、あぁ!」 待て、の言葉を待たずに正義は譲の頸に歯を立てた。 αとβでは番いにはなれないというのに、その白い肌に歯型と薄らと血が滲む様を見ているとαの欲求が酷く満たされる。 「譲さん好きです、愛してます」 「せい、ぎっ…、許さねぇからな…」 そんな可愛くない言葉を言いながらもビクビクと震えている譲は、噛まれた痛みで射精していた。 ギロっと睨む顔も涙に濡れ、頬は真っ赤だ。 (あぁ、立派な雌ですね…) その譲の色っぽく、荒い息遣いを繰り返す口に自身の口をつけようとしたところ、グイッと拒否された。 「…調子、乗るな」 「下の口は許しても、上の口はダメなんですか?」 (下品なこと言ってんじゃねぇよ) αに抱かれるのが好きな譲は、支配されることに喜びがあるわけではなく、αがΩよりβの自分を求め興奮する姿を見るのが好きなだけである。 契約上、ある程度の主導権は与えても優先順位は譲。 もし破るならば、この契約は破棄となる。 「嫌なら、抜けよ…」 「いやです。冗談じゃない」 動きを止めた今、まるで「離れないで」と言うように必死で締め付けている。 重ねれば重ねるほど、譲と俺は巡り合う運命だった。 そうは思わずにいられない。 「俺は貴方の運命が欲しい」 「ハッ?冗談だろ…」 その憎たらしい言葉しか出さない声から「愛してる」と聞けたなら死んでも…いや。死ぬのは勿体無いので速攻、市役所に駆け込むだろう。 けれど、いはまだ… 「譲さん、もう一回…」 正常位になりさらに譲の身体を強請る正義と、その尽きない性欲にはいくらなんでも"ふざけるな"と青ざめる譲。 「っ、何回、出せば気が済むんだよ!?」 「お願いですっ!明日からまたしばらく出来なさそうなので…ダメ、ですか?」 くぅーんきゅーんと聞こえそうな鳴き声に、うっ…としてしまう。 「次で、最後だからなっ…」 随分と、甘くなってしまったことに後悔した。
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