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 約束していた場所に到着した。  待ち合わせの時間より少し早く到着したようで、2人はまだ来ていない。 「琢磨くーん!」可愛らしい声に呼ばれて振り返ると大きく手を振りながら近づいてくる笑顔がこぼれるその顔に、琢磨は鼻の穴を大きく広げる。 「や、やあ・・・・・・・・」彼は照れくさそうに少し目を逸らして右手を上げる。 「大島君はまだなの?」少し息を切らせて美穂子は聞いてくる。 「ああ、まだ来ていない・・・・・・・」時計を見るとまだ少し時間があるようである。美穂子からほんのりと甘い香りがしてくる。琢磨は更に花を大きく広げて周りの空気を全て吸収するかのように吸い込む。 「ふふふふ」突然、美穂子が微笑む。 「えっ?」夢心地から我に返って琢磨は顔を赤くする。 「琢磨君ていつも面白いよね」美穂子は首を軽く傾げると、まるでアイドルのように微笑む。 「えっ、お、俺が面白い・・・・・・・、ど、どこが・・・・・・・・」 「お待たせ!」爽やかに白い歯を輝かせて裕之が登場した。徳間はこの時ほど、裕之が疎ましく思った事は無かった。 「そんなに待ってないよ。ねっ、琢磨君」 「あ、ああ、少し前に来たところだ・・・・・・・・」琢磨は少し不貞腐れたような顔をした。 「ははーん、俺はお邪魔だったかな?」裕之は憎たらしい顔で笑う。 「な、なにを・・・・・・、くだらない事を言っているんだ・・・・・・・」琢磨は下を見た。 「まあ、いいや!じゃあ行こうか!」裕之はそういうと自然な感じで美穂子の肩に手を回して誘導した。 「あっ」彼女は少しためらうような表情を見せたが、それに琢磨は気づかない。裕之は美穂子の気持ちなど、無視するかのように目的地に向かって歩き出した。
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