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待ち合わせ場所へ行くと、そこには女の子が一人いるだけだった。
「あれ…?高杉くんは…?」
「ごめんなさい。私が呼んでもらったの。私、御厨くんの事が好きなの」
上目遣いでそう言うこの子は多分Ωだろう。
上気した頬に潤んだ瞳。
――ヒートを起こしかけている…?
僕はαだというのにΩのフェロモンが分からない。
だから目の前でヒートを起こされても何も感じない。
つられてラットを起こすなんて事はないんだ。
これまでだってこういう事は何度もあった。
だけど僕にはキミたちの武器は通用しないんだ。
こういう手を使ってまでもαを捕まえようとするΩを軽蔑する。
僕はどんなに手に入れようと思っても好きな相手にこんな手だけは使いたくないし、できない。
僕は少しだけ眉を顰め、そのまま立ち去ろうとした。
だけどそこに未来が来てしまった。
いくらβでもΩのヒート中のフェロモンにあてらてしまうかもしれない。
二人を今すぐ離さなくては―――。
僕の未来がΩに負けてしまう…!
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