運命 M

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運命 M

この世界には男女の他にそれぞれにα、β、Ωと6種類の性が存在していた。 αは全ての頂点であり全てを導き支配する者。 βは一般人。 Ωは庇護対象であるがその性ゆえに軽視され、突発的なヒートによる望まない性交、妊娠及び番関係を結ぶという事件が多発し、特に二次性が顕著になる思春期真っ只中の子どもたちによる事故が大いに問題視されていた。 ***** 部屋中に充満する甘いあまい香り。過ぎてしまえば胸焼けしそうなくらい甘いのに、まだまだ足りないと俺は感じていた。 甘い香りを胸いっぱいに吸い込む。 そんな甘い空間に自分と獲物の二人のみ。 邪魔する者は一人もいない。 身体中の血が沸騰するように熱く、全身を逆流するかのような感覚。 ただこの香りを嗅いだだけだというのに既に中心は昂り今にも弾けてしまいそうだ。 目の前には横たわる美しい獲物。その姿を瞳に捉えるだけで胸が締め付けられるように痛い。 もう脳は痺れて何も考えられなくなっていた。 早急に己の猛りを獲物の中に埋め、獣のように腰を打ち付ける。 働かない頭で思うのは、 ――――盗られる前に自分のモノにしなくては。 ただそれだけだ。それだけが大事でそれだけが重要だった。 激しい情交の果て自分の下で意識のない獲物の最奥に精を放ち、細く頼りない項にがぶりと噛みついた。 それだけでは足りない。 深くふかく己の牙を食い込ませた。 あぁ……これで俺の…俺だけの………。 口の中に広がる錆びついた味さえも甘露のように甘く、心が震えた。
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