魔法を解いて!

1/17
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
同級生で近所のマチコちゃんに飴をもらった。僕は小恥ずかしいけどお礼を言おうとした。手のひらに飴と手汗を握って。 「あ……」 すると突然、声が出なくなった……と、いうより口がうねうねと動き始めて、言葉がちゃんと喋れなくなり、その場で動揺する。 「ん? あれ? ……んーっ。むむ」 「どうしたの? ユウトくん。変な顔」 マチコちゃんは僕から一歩下がった。 僕も、顔が熱くなっちゃって彼女から一歩下がった。 「あー……あっ、うむむ……。〜〜っごめん!」 いっときは頑張ってみたものの、やっぱり口が言うことを聞かなくて、諦めて走って逃げた。 違和感を持ったのはこの時だけじゃない。他にも、学校の先生に分からない問題を聞いて、教えてもらった後、言おうとしたらやっぱり口がうねってダメだった。僕は先生に怒られるのが怖くて、またすぐに走って逃げた。授業中だったから、あとからもっと怒られるかもと思っていながら。 僕は走って体育館の裏のとこまで来た。体育館にも、青ぜっけんの2年の生徒が授業してたから、しゃがんで膝抱えた。 チャイムが鳴るまでここで息を整えて身を隠そうと試みた。だけど僕は、上級生たちのとある会話を聞いて、気が変わる。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!