(一)

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 すると八時を過ぎて明が帰ってきた。  そこで私は「どこいっていたのよ」と立ち上がった。  リビングに入ってきた明は「ちょっとね」とだけ答えた。 「心配したんだよ」 「別に心配なんかしなくたって」 「家が隣同士の幼なじみなんだから、心配くらいするよ」 「大事な人に会ってきた」 「大事な人って誰?」 「大事な人だよ」 「彼女でもできたの?」 「そんなんじゃないよ」 「じゃあ、どういうことよ?」 「どうでもいいだろ」  そのぶっきらぼうな言われ方に、私はちょっとカチンときた。だから私は「あっそ。もう帰る。じゃあね」と言い残して、明の家を去った。 (続く)
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