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青春小説ってなんだろう?
ここまでつらつら「ロングディスタンス」について書いて参りましたが、肝心のジャンル変更については単純に「きょうび男性同士の恋愛を描いた作品=BLでもなかろう」というのが一番の理由であり、私の政治的なスタンスだからです。
やっぱり今はまだ単に「青春小説」とジャンルされるもので恋愛の描写が軸になる作品では、比べるまでもなく男女の恋愛が大多数を占めているかと思います。
けれどもそんな中に全く議論の俎上に上がる隙もなく、BLとかGLとか百合とか攻めとか受けとか言われることも判断されることもなく、ただただ自然に青春小説の中で恋をする男の子同士や女の子同士やそれ以外の性の子たちがマジョリティのように透明化した存在になってほしい。
それが私の願いであり、自分の書く小説で一番に明示したいことであり、そのための立場を自分はとっていきたいと考えています。微力ながら。
とは言え青春小説もまた、BL小説と同じように、「青春小説」という言葉から想起される空気感を望んで手に取られることが多いジャンルでしょう。
というか「青春小説」「BL小説」に限らず、どんな小説であれ「そのジャンルの小説が読みたい!」と思っている人に「楽しんで欲しい!」と思って書かれた小説こそが、そのジャンルを名乗るに相応しいのではないか。
そういう意味で言えば「ロングディスタンス」は、私が「青春小説であって欲しい」と思って書いているだけの小説であって、BL小説でも青春小説でもないのかもしれません。
しかし「BL小説」と「青春小説」には絶対に同じ土俵で語ってはいけないひとつの明確な違いがあります。
それは「BL小説」は「必ず男性同士の恋愛を描かなければいけない」ものであるのに対し、「青春小説」は「あらゆる属性、あるいは属性を持たない人生全てを疎外してはならない」ものであるという違いです。個人的な考えではありますが、ここはあえて断言したい。
全人類に青春はあります。何度も反芻したいキラキラした思い出だったり、逆に思い出すたび悶絶するような黒歴史だったり、甘かったり酸っぱかったり苦かったり、過去を美化していう言葉だったり未来を指して希望する言葉だったり、それは人それぞれ、人の数だけ青春があると思います。
今でも別に、あるっちゃあります。私にも、好きな作品がたくさんあります。男の子同士や女の子同士やそれ以外の性やマイノリティや属性を持つ、あるいは持たない人たちの小説。
いやーしかし、足りんよ。私が私の書くものを「誰が読むねんこんなん」と私が思っている内は全然足りない。「性的マイノリティだけがマイノリティじゃねーんだよ! ふざけんなくそくらえ!!」と、パンセクシャルでオタクでカトリックでいじめられっ子で二重国籍で日本育ちの白人である重陽なら言うでしょう。
設定盛りすぎ? そうかもしれません。
でも人間って誰しも、このくらいは多面的だと思いませんか?
それを魅力的に、分かりやすく、エンターテイメントとして理路整然と書ききれていないとすれば私の実力不足です。
ただ、甘えたことを言わせていただくとすれば、そういう人間の、青春の、多面性多様性を描こうと挑むことをご容赦いただければ幸いです。
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