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朦朧としているが、どこかしんしんと頭の一部が覚醒したようで右わき腹が酷く痛い。瑞香は肝臓癌を取る手術をした後だ。手術室の隣の回復室で目を覚ました。ナース服の可愛い看護師が瑞香が起きたのに気付く。
「気分はどうですか?痛いとかありますか?」
「手術をしたところが……。でも我慢は出来ます。癌は取りきれたんですか?」
「後で先生から説明があります。病室に戻りますね」
二人の看護師が前後でストレッチャーを押す。二人ともパンツのナース服だ。後ろにいる看護師さんは胸のところに懐中時計がぶら下がっており、熊さんが付いたボールペンを差していて髪は後ろで結わえている。
今は四月、林瑞香は十八歳の大学一年生だ。でも高校を卒業するときに癌であることが分かった。小さい時から病弱だったが、あまりに眩暈と貧血が酷かったので血液検査をした。そして詳しく調べたら腫瘍マーカーが高かった。お母さんがクリニックから大学病院に紹介状を書いてもらって都内で手術をした。
お父さんとお母さんは手術室の外でずっと待っていて瑞香がストレッチャーで出てくると安堵した。病室まで後を付いてくる。瑞香は気丈に笑って見せた。
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