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「狐火、そうは言っても懐かしい物を
見つけてしまったんだよ」
「お前は本の虫だからな。
そんなのを読んだ日には日が暮れちまわぁ」
「そ、それはそうだけど。
このノートにはね。
僕のじいちゃんが書き留めた
物語や随筆があるんだよ。
僕は子供の頃、この物語が好きだったんだ」
そう言って僕は茶色く変色した
ノートの中ほどのページを開いた。
すると狐火が僕の肩からのぞき込むようにして
「何て書いてあるんだい?」
と聞いてきた。
「短いから読んであげよう。
これを読み終えたら下の喫茶店の準備をするよ」
僕はタイトルを指でなぞる。
そこには達筆な祖父の字で
『白鳥の騎士と姫君』
と書かれていた。
「早く読んでくれよ」
「う、うん。それじゃぁ読むよ」
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