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遺品整理も終わり、祖父の家を辞した僕は
喫茶店兼自宅へと帰る途中だった。
灰色の街、街路樹の緑だけが
色を添えているそんな場所を歩いていると、
ふと、ビルとビルの合間に何かが見えた。
(どうしようかな)
僕は考えた。
視線の端に見える物にロクな物は無い。
それが僕の教訓だった。
「・・・・」
だが、その目の端に見えた物は
こちらをじっと見ている。
僕はため息をついた。
そして元来た道を引き返して
そのビルとビルの合間まで行き、
奥をみるため座った。
そこにあったのは『火』だった。
「『人玉』?」
「違う、『狐火』だぁ」
そう、『狐火』はしゃべった。
それが僕らの出会いだった。
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