番外編:木霊

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「狐火、何か感じるかい?」 「ああ、この世ならずお客様がやって来る 予兆がするな」 「やっぱりか・・・」 僕は素早く今月の売り上げを頭の中で計算した。 とりあえず、赤字にはならなさそうなので安堵していると カランコロン・・・ ドアベルが鳴る。 「いらっしゃいませ・・・叔父さん!」 店に入ってきたのは、母の弟で未だ独身だ。 彼は登山服にマスクをしてリュックを背負っていた。 ”よう坊主!元気にしてたか” ・・・彼はA4のスケッチブックにそう書いた。 「ええ、元気にしてましたよ。 それにしてもどうしました?」 ”風邪をひいたみたいで喉が痛いんだ あ、コロナじゃないぞ” 「そうですか、それは大変ですね。 その状態で登山をされた訳ではないですよね」 ”まさか!登山の帰り道の途中で具合が悪くなってな” 「何か温かい飲物でも飲みますか」 ”ああ、そうしてくれると有難い”
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