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掠れたペンで、それも破れた広告の裏に書いてあるものですから、最初は私に宛てたものだとは気が付きませんでした。
そんな書置きのぞんざいさからも、あなたから私への怒りや失望は相当深いものであることが伝わってきます。
孝明さん。あなたは私が起きるよりも遥か早くにこの家を発ってしまったのですね。私が目を覚ました時には既に姿が無かったということは、あなたがこの家を出たのはまだ始発が動くか動かないかの時間のはずです。
「おはよう」も「いってらっしゃい」も、そして何より一番伝えたかった「ごめんなさい」も、私は今日あなたに伝えられませんでした。
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