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ドアを開けてもそこにいるのはやはり猫だった。いや、猫には違いないんだけど、毛がなくてつるんとしている。猫なんだけど二足歩行で、長いしっぽが揺れている。目の位置が私と同じくらいなので、恐らく身長160センチはある。
「はじめまして、すまーとねこです」
「スマート猫?」
「はい。ねこはすまーとねこです。おじゃまします」
スマートというほど痩せた猫じゃないな、なんて思っていたら、スマート猫は持参したウェットティッシュで足の裏を拭いてから猫らしく音も立てずに家の中へ入っていった。
ふと、抱いたままの息子の顔を見る。息子は不思議そうな顔でスマート猫を目で追っていた。
あれが何だかわからないよね。私もわからないよ。
スマート猫はリビングの真ん中に立って、あたりをきょろきょろ見回していた。
「スマート猫は何ができるんですか?」
「すまーとねこはいろいろなことができます」
「家電のスイッチを入れるとか? あ、でも設定しないとだめか」
「すまーとねこはおうちのなかにはいるだけで、ぜんぶのかでんとせつぞくできます」
「え、すごい。思ったより高性能」
それを聞いたスマート猫は「えへん」と言うように少しだけ胸を反らした。
「じゃあ、スマート猫、エアコンをつけて」
「ねこはおはなしねこなので、えあこんはつけません。それは『おんおふねこ』がやります」
「は?」
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